いまでは忘れられてしまった、自在置物という工芸がある。
江戸時代中期の戦のない天下泰平な時、
甲冑(鎧や兜)作りに 携わっていた職人が始めたものだ。
自分たちの腕の見せ所の場でもあったらしい。
色々な金属、合金で、昆虫から動物、龍に至るまで、
関節の動きまで含めて実にリアルに作った置物。
今で言うとてつもなく手間をかけたフィギュアだ。
この自在置物、明治~大正期、
日本の大事な輸出品だった。
外貨獲得のための国策だった。
第二次世界大戦での敗戦。
欧米文化が怒涛の如く流れ込んできた。
脈々と受け繋がれてきた日本の良き文化も押し流し連れ去った。
流されてしまった、日本の彫金技術。
なにより悔しいと思うのは、
それらのすばらしさを、私たち日本人よりも
欧米の人々の方が 愛と驚嘆をもって理解していることだ。
寂しいことだと思う。
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